Yoko's 人生=旅 on this Blue Planet
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魚住 昭 〜 わき道をゆく:大災害時、私たちが最も恐れるべきは「命を守るための情報」が知らされないということだ 2016.5.1. (週刊現代)
魚住 昭 〜 わき道をゆく:大災害時、私たちが最も恐れるべきは「命を守るための情報」が知らされないということだ 2016.5.1. (週刊現代)


エリートパニック」という災禍

行政の各階層が情報を伝えない情報操作

■ 国民のほうがずっと冷静

エリートパニックという言葉を聞かれたことがおありだろうか。『災害ユートピア』(レベッカ・ソルニット著)に出てくる造語で、災害情報を伝える側の人が陥る恐慌のことだ。

17日付の東京新聞の社説によれば、〈『普通の人々』がパニックになるなんて、とんでもない…。エリートパニックがユニークなのは、それが一般の人々がパニックになると思って引き起こされている点です〉と書かれているという。


そのくだりにハッとした。5年前のイチF福島第一原発)事故の記憶が甦った。当時、官邸の混乱ぶりを伝える情報があるルートから刻々と入った。

官邸は最悪の状況に陥っていた。イチFの暴走がつづけば東日本が壊滅する。といって真実を国民が知ればパニックが起きる。無数の人々が逃げ惑い、多数の死者が出る。私の頭にはそんなイメージが膨らんだ。

枝野幸男官房長官(当時)は「直ちに健康に影響はありません」と会見で繰り返していた。私はテレビでそれを固唾を飲んで見守った。記者時代の習性から、彼が本音を漏らしたら大変なことになると思った。「そのまま平静を装ってくれ」と祈るような気持ちだった。

が、いま振り返ると、当時の私は「普通の人々」のパニックを恐れるあまり、自らパニくっていたようだ。



最も恐れなければならないのは、学者や

メディアや官僚がパニックを恐れて

口をつぐんでしまうことだ


原子力の専門家や官僚や政治家は、その気持ちがもっと強かったのだろう。民間事故調の報告書にあるように、彼らは「『国民がパニックに陥らないように』との配慮に従って行政の各階層が情報を伝えない情報操作」を行った。

「メルトダウン」と言った原子力保安院の審議官が更迭され、SPEEDI(緊急時影響予測ネットワークシステム)が沈黙した。パニックへの過度の恐れが裏目に出たのである。「普通の人々」は、エリートが想像するよりずっと冷静だった。


■ 命を守る情報は、知らされない

イチFだけではない。東京新聞の社説によれば、3・11の4日後にこんなこともあった。

三月十五日深夜、富士山の直下で震度6強の地震があった。発表は「静岡県東部地震」で富士山噴火には触れていない。科学部の記者が取材したが、関連を認める火山学者はいなかった。噴火を心配したと語り始めたのは、随分、後のことだった〉

つまり火山学者はパニックを恐れて本音を明かさなかったのだろう。まかり間違えば大惨事になっていたかもしれないのに……。

東京新聞はもう一つ、今月1日正午前のM6・5の三重県南東沖地震にも触れている。

〈震源はフィリピン海プレートと陸側のプレートの境界。次の南海トラフ地震が始まるかもしれないと考えられている場所である。しかも、微小地震が続発している時期だった。「肝を冷やした」と話す地震学者もいる。実際には何も起きなかった。だが、南海トラフ地震の発生確率が通常よりも高くなっている」と伝えるべきだった〉

これは論説記者の反省だが、私自身の経験では、記者も往々にしてエリートパニックの虜になる。自らの記事が混乱の引き金になるのを恐れるからだ。

そうしてメディアが臆すれば「普通の人々」はますます情報の埒外に置かれる。決定的な局面で最も重要な情報はそれを必要とする社会に届かない。

似たような現象は、1923(大正12)年の関東大震災の前にもあったらしい。吉村昭著『関東大震災』(文春文庫)によると、首都大地震の恐れを真剣に警告していた学者がいた。





たぶん私たちが最も恐れなければならないのは、学者やメディアや官僚がパニックを恐れて口をつぐんでしまうことだ。過去の過ちをまた繰り返したくない。阪神大震災以来、私たちは地震の怖さを嫌と言うほど味わってきたのだから。


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テーマ:軍事・安全保障・国防・戦争 - ジャンル:政治・経済

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2016/05/12(木) 10:11:43 | | #[ 編集]
5/12 の鍵コメさんへ:エリートパニック
5/12 の鍵コメさん、こんばんは。

3.11 以来、日本の各分野のエリートたちは、パニック状態のままなのではないでしょうか?!
最悪のタイミングです、一番情報を出して、最善の方策を産み出さなければならない時に、皆で黙りを決め込んで責任逃れ。
その背後では、自己保身のために、自分たちだけが逃げる算段をしている、多分。

戦争時もそうだったのでしょう、と想像します。
今は、どちらを向いても「戦前」の雰囲気なのではないでしょうか?
それも日本だけでなく、世界の主要国家は、いずれも同じような状況にあるようです、残念ながら。
2016/05/12(木) 17:02:30 | URL | yokoblueplanet #-[ 編集]
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