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弁護士深草徹の徒然日記:緊急事態条項と憲法9条・立憲主義 (3)2016.6.19. &(4) 2016.6.20.
弁護士深草徹の徒然日記 〜 緊急事態条項と憲法9条・立憲主義(3)2016.6.19.


「王様も憲法に縛られる」が立憲主義―その1

安倍首相は、かつて次のように述べたことがある。

「〔憲法は〕国家権力を縛るものだという考え方はあるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、そして理由と未来を語るものではないか。」(2014年2月3日衆院予算委での答弁)

憲法とは、君主制の下で、その絶対権を制約する国の根本規範として定められたものであり、君主といえども憲法に拘束されるという考え方が、立憲主義である。・・・王様も憲法に縛られる。これが立憲主義だというわけである。

これは、立憲主義のスタート時点に遡れば正しい。しかし、私たちが生きて活動する現在においては正しくない。立憲主義は、安倍首相は、夢想する如く、そこにとどまったわけではないのである。

まずイギリスの経験から。

「マグナ・カルタ」「権利請願」(⇒ピューリタン革命⇒名誉革命)⇒「権利章典」

 「マグナ・カルタ」は、13世紀はじめ、中央集権国家への道を進みつつあったジョン王に対する封建貴族の異議申し立てであり、王の徴税権に制約を課そうとするものであった。


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弁護士深草徹の徒然日記:緊急事態条項と憲法9条・立憲主義(4) 2016.6.20.


「王様も憲法に縛られる」が立憲主義―その2 
 

 次いで日本の経験から。

 1988年4月、明治憲法草案が確定し、枢密院においてその審議が始まったのは同年6月18日からであった。

※参考 枢密院
 枢密院は、1988年4月30日公布された「枢密院管制及事務規定」によると、「天皇親臨シテ重要ノ國務ヲ諮詢スル所とされ、議長(1 名)・副議長(1 名)・顧問官(12 名以上)・書記官長(1 名)・書記官(数名)をもって組織することとなっている。なお、内閣総理大臣以下の各国務大臣は「其職權上ヨリ樞密院ニ於テ顧問官タルノ地位ヲ有シ議席ニ列シ表決ノ權ヲ有ス」とされている。

 審議開始の冒頭、議長伊藤博文は、憲法制定にあたっては国家の機軸を確立しなければならず、長年にわたる歴史的蓄積と宗教的統合のない我が国においては皇室を統合の中心とし、君権を機軸せざるを得ない、これを制約するがごとき思想は採用しないと、明言した。

※参考 伊藤博文が枢密院の憲法審議開始冒頭に述べた大意
 「…歐洲ニ於テハ當世紀ニ及ンデ憲法政治ヲ行ハザルモノアラズト雖、是レ即チ歴史上ノ沿革ニ成立スルモノニシテ、其萌芽遠ク往昔ニ發カサルハナシ。反之我國ニ在テハ事全ク新面目ニ屬ス。故ニ今憲法ノ制定セラルヽニ方テハ先ツ我國ノ機軸ヲ求メ、我國ノ機軸ハ何ナリヤト云フ事ヲ確定セサルヘカラス。機軸ナクシテ政治ヲ人民ノ妄議ニ任ス時ハ、政其統紀ヲ失ヒ、國家亦タ随テ廢亡ス。苟モ國家カ國家トシテ生存シ、人民ヲ統治セントセハ、宜ク深ク慮リテ以テ統治ノ効用ヲ失ハサラン事ヲ期スヘキナリ。抑、歐洲ニ於テハ憲法政治ノ萌セル事千餘年、獨リ人民ノ此制度ニ習熟セルノミナラス、又タ宗敎ナル者アリテ之カ機軸ヲ爲シ、深ク人心ニ浸潤シテ、人心此ニ歸一セリ。然ルニ我國ニ在テハ宗敎ナル者其力微弱ニシテ、一モ國家ノ機軸タルヘキモノナシ。佛敎ハ一タヒ隆盛ノ勢ヲ張リ、上下ノ人心ヲ繋キタルモ、今日ニ至テハ巳ニ衰替ニ傾キタリ。神道ハ祖宗ノ遺訓ニ基キ之ヲ祖述スト雖、宗敎トシテ人心ヲ歸向セシムルノ力ニ乏シ。我國ニ在テ機軸トスヘキハ、獨リ皇室アルノミ。是ヲ以テ此憲法草案ニ於テハ專ラ意ヲ此點ニ用ヒ、君憲ヲ尊重シテ成ルヘク之ヲ束縛セサラン事ヲ勉メリ。或ハ君權甚タ強大ナルトキハ濫用ノ虞ナキニアラスト云フモノアリ。一應其理ナキニアラスト雖モ、若シ果シテ之アルトキハ、宰相其責ニ任スヘシ。或ハ其他其濫用ヲ防クノ道ナキニアラス。徒ニ濫用ヲ恐レテ君權ノ區域ヲ狭縮セントスルカ如キハ、道理ナキノ説ト云ハサルヘカラス。乃チ此草案ニ於テハ、君權ヲ機軸トシ、偏ニ之ヲ毀損セサランコトヲ期シ、敢テ彼ノ歐洲ノ主權分割ノ精神ニ據ラス。固ヨリ歐洲數國ノ制度ニ於テ君權民權共同スルト其揆ヲ異ニセリ。是レ起案ノ大綱トス…。」


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