Yoko's 人生=旅 on this Blue Planet
高速回転中の青い惑星地球、負けじと走り回る一人の記録。
小出裕章「使用済み核燃料中間貯蔵施設」とは?」宮崎県連続講演会 2004.5.21(金)~23(日)
小出裕章「使用済み核燃料中間貯蔵施設」とは?」宮崎県連続講演会 2004.5.21(金)~23(日)

1.放射能は生命体に危険

放射能とはもともと放射線を出す能力を表す言葉であったし、今ではその能力をもつ物質(放射性 物質)のことを指す場合もある。放射線は人体に著しく危険であるし、もちろん放射能もまた危険で ある。放射線の恐ろしさの特徴は、それが五感に感じられないことである。棍棒で殴られれば痛いし、 鉄砲で撃たれたって痛いに違いない。しかし、放射線に被曝しても痛みも感じないまま死に至る場合 がある。

生命体に対する被曝の危険性

1999 年9月 30 日、原子力の町といわれた茨城県東海村の核燃料加工工場で、原子力関係者の誰一 人として予想しなかった事故が起こった。工場にあった1つの容器の中で、突然ウランが核分裂の連 鎖反応を始めたのであった。作業に従事していた3人の労働者は大量の放射線を浴び、最大の被曝を 受けた労働者はその場で昏倒した。数分後に到着した救急隊が彼らを現場から運び出したが、ウラン の核分裂反応はその後約 20 時間にわたって続いた。

被曝の量は物体が吸収したエネルギー量で測られ、単位には「グレイ」を使う。物体1 kg 当たり 1ジュール(0.24 カロリー)のエネルギーを吸収した時の被曝量が1グレイである。 人体の組成はほぼ水で、1グレイの被曝を 受けた時に人体が吸収するエネルギーは人 間の体温を約1万分の2度しか上昇させな い。従来の医学的な知見によると、およそ 4グレイの被曝を受けると半数の人が死に、 8グレイの被曝をすれば絶望と考えられて きた。3人の労働者の被曝量は、それぞれ 18、10、3グレイ当量(グレイ当量は、急 性障害に関する中性子の危険度をガンマ線 に比べて 1.7 倍として補正した被曝量)と 評価された(図1参照)。当然、2人の労働 者は助からないと私は思ったし、おそらく は造血系と消化器系の破壊によって2週間 以内には亡くなるだろうと予想した。事故 直後に3人の労働者は、まず国立茨城病院 に送られたが、そこでは手に負えず、被曝の専門病院である放射線医学総合研究所に送られた。しかし、単なる被曝治療(被曝の治療は実質的 には感染予防と水分、栄養補給くらいしかない・・・)だけではとうてい助けられないため、高い被 曝を受けた2人の労働者は東大病院に送られた。その後、感染防止や水分・栄養補給はもちろん、骨 髄移植、皮膚移植、輸液、輸血などありとあらゆる手段が施され、患者は私の予想を遙かに超えて延 命した。しかし、最大の被曝を受けた大内久さんは 12 月に、2番目の被曝を受けた篠原理人さんは 翌年4月に、いずれも筆舌に尽くしがたい苦痛を経て、ついに帰らぬ人となった。

放射線がもつエネルギーと生命体

彼らが受けたエネルギーは彼らの体温を 1000 分の2~4°C上昇させただけのものでしかなかった。 それでも、彼らは造血組織を破壊され、全身に火傷を負い、皮膚の再生能力を奪われた。そして、「天 文学的な」鎮痛剤(麻薬)と毎日 10 リッターを超える輸血や輸液を受けながら苦しい闘病生活を送 った末に死に至った。
生命体のDNAを含め、すべての物質は原子によって構成されているが、原子が集まって分子とな る場合の結合エネルギーは電子ボルト(1個の電子を1ボルトの電位差に逆らって移動させるのに必 要なエネルギー)のオーダーでしかない。ところが、放射線のエネルギーは数十万~数百万電子ボルトに達する。生命体が放射線に被曝した場合にはDNAを含め 多数の分子の結合が破壊され、 破壊の程度が激しければ、その 細胞や組織は生き延びることが できないし、破壊の程度が低け ればDNAに傷を負ったままの 細胞が生き延び、やがて癌など を引き起こすことになる。こう して、放射線は生命体が依拠し ている物質とはかけ離れたエネ ルギーを持っているために、生 命体に対して著しい危険を及ぼ す。
核分裂反応に関わった ウランの量

JCO事故で燃えたウランの 総量は約1mg、重さも感じない ほどのものであった。放出され たエネルギーの総量で測っても、 灯油2リッター分程度でしかな い。各家庭の石油ストーブで2リッターの灯油を20時間かけて燃やす状態を想像してみれば、随分と火力を絞った状態であろうし、 ごく近くにいたとしても暖をとるのにも充分でないだろう。しかし、JCO事故では2名の労働者が 死に至り、その他の多くの労働者も法令の限度を超えて被曝した。その上、数百mも離れたところの 一般住民すらが法令の限度を超えて被曝させられた。

放射線の危険性についての認識の進化

放射線が発見されたのは 20 世紀を前にした 1895 年のことであった。当初は「急性障害」の存在 すら知らないまま、多数の研究者が犠牲になった。その後、広島・長崎原爆被爆者、ウラン鉱山労働 者、被放射線治療者などによる悲惨で貴重な知見が蓄積してくるにしたがって、次第に「晩発的障害」 もあることが分かってきた。いつの時代も、放射線の危険度には十分に安全側の仮定が用いられてい ると説明されてきたが、科学的な知識が深まれば深まるほど放射線の危険性が高いことが明らかにな ってきたのが、これまでの歴史であった。そのため、いわゆる「許容量」も図2に示すように大幅に 厳しくされてきた。日本を含め今日、世界各国は国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に従って国 内法で放射線被曝に対する「許容量」(正確には「線量限度」と呼ぶ)を定めている。そのICRP による「許容量」も日本の原子力開発が始まった 1950 年後半の時点から見れば、職業人で 2.5 倍、 一般人では5倍厳しいものに改訂されている。

2.原子力を利用すると生み出されるのは放射能(死の灰)

原子力発電がしていることはお湯を沸かすこと

原子力というと、科学の最先端で、とても難しいことをしているかのように思う人たちが多い。し かし図3に示すように、原子力発電でやっていることは単にお湯を沸かしているだけである。その点 を取れば火力発電とまったく同じで あり、沸かした湯気でタービンという羽根車を回し、それにつながった 発電機で電気を起こすのである。
しかし、火力発電所は都会に建設 できたが、原子力発電所は都会には 決して建設できない。なぜ原子力が 途方もない危険を抱えているのであ ろうか? ものが燃えればエネルギ ーが出、そして二酸化炭素や灰がで きる。原子力ではウランやプルトニ ウムが燃える(核分裂する)時に放出されるエネルギーを利用する。 その時エネルギーが出ると同時に、 核分裂生成物(いわゆる死の灰) ができる。二酸化炭素も灰も残さ ずには物を燃やせないように、死 の灰を生み出さずに核分裂を起こ すことはできない。この物理的な事実が、 原子力が抱える危険の一切の根源となる。

原子力発電が生み出す放射能は厖大

今日利用されている標準的な原子力発電 所は出力が 100 万キロワット。その発電所 では1年間に1トン、1000kg のウランを燃 やす。広島原爆に比べれば 1000 発分以上、 1999 年の東海村で燃えたウランの量に比 べれば 10 億倍である(表 1 参照)。

続きはと図は>>

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コメント
この記事へのコメント
小出裕章氏
こんにちは。

先日はご訪問並びにメッセージをありがとうございます。

最近、私も小出教授のお話に関心を持っています。

確か小出氏は多くの国民が原発の危険性に気付いていない時から、ずっとその危険性を警告し続けてきた方なのですよね。

政府側は原発の危険性を知っていながら、国民に伝えていなかったのには大きな責任がありますが、一方で、国民が知ろうとしていなかった事にも問題があったのかもしれません。

もう少し早く、小出氏の警鐘に耳を傾けるべきだったのだろうとも思います。

日本は次世代に渡る負の遺産を抱えてしまいましたが、今後、使用済みの核燃料の問題も含めて、皆で原発の処理について真剣に考えなくてはいけませんよね。
2012/12/22(土) 03:36:34 | URL | whitemoon #-[ 編集]
同感です: 小出裕章氏
whitemoonさん、こんにちは。

> こんにちは。
> 先日はご訪問並びにメッセージをありがとうございます。
> 最近、私も小出教授のお話に関心を持っています。
> 確か小出氏は多くの国民が原発の危険性に気付いていない時から、ずっとその危険性を警告し続けてきた方なのですよね。
> 政府側は原発の危険性を知っていながら、国民に伝えていなかったのには大きな責任がありますが、一方で、国民が知ろうとしていなかった事にも問題があったのかもしれません。
> もう少し早く、小出氏の警鐘に耳を傾けるべきだったのだろうとも思います。
> 日本は次世代に渡る負の遺産を抱えてしまいましたが、今後、使用済みの核燃料の問題も含めて、皆で原発の処理について真剣に考えなくてはいけませんよね。

同感です。遅きに喫した事は事実ですが、このままでは日本にも世界にも未来はありませんので、大きな地震が再度日本を襲う前に、出きるだけの事をしなくてはならないと思います。
一人一人がこの危機をしっかり認識する事が必要なのですが、原発推進派の自民党が返り咲いた今、事は更に面倒になるかも知れません。が、諦める訳にはいかないので、毎日一人でもこの問題の緊急性を理解するヒトが増えるように、ブログを通してばかりでなく、実際に話し合う機会を持つように心がけたいと思います。
2012/12/22(土) 08:39:56 | URL | yokoblueplanet #-[ 編集]
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