Yoko's 人生=旅 on this Blue Planet
高速回転中の青い惑星地球、負けじと走り回る一人の記録。
だいず先生「原発震災(48)100mSv被曝による影響について」 2012.1.7.
だいず先生「原発震災(48)100mSv被曝による影響について」 2012.1.7.

 ジョン・W・ゴフマン『人間と放射線』明石書店2011年(原著は1981年)を勉強している。ゴフマンは、アメリカの水爆開発拠点であるローレンスリバモア研究所の生物学部門トップをつとめ、低線量被曝の影響の研究を任された。政府としては、低レベル被曝の影響は無視できるという結論を期待していたのだが、ゴフマンらの研究結果は、そうでななく、影響は無視できないとするものだった。それでゴフマンは研究費がつかなくなるという弾圧を受けた。この本は、ゴフマンが、広島長崎被曝や、医療行為の中での放射線被曝の影響を検出したいくつかの疫学研究の結果を整理・体系化したものである。

 低線量被曝の影響のうち、ガンによる死亡について、詳しく解析が行われている。用いたデータは、広島、長崎の被爆者のガン、強直生脊椎症で放射線治療を受けた患者に発生したガン、産後乳腺炎治療のために(!)放射線治療を受けた母親たちの乳ガン、肺結核治療のために人工気胸治療を受けた際に浴びたX線による乳ガン、頭部白癬治療のために(!)頭皮にX線照射を受けた患者に発生した皮膚ガン、生後2、3カ月の乳児に行われた(!)胸腺肥大に対して頸部に照射されたX線照射による甲状腺ガンなどの、疫学データである。かつてアメリカでは乱暴な放射線治療が行われたようで、それによってガンを発症し、死にいたった不幸な患者がたくさんいたようだ。広島・長崎だけでなく、それらの悲劇も、私たちに貴重な情報を提供してくれていることになる。

 ゴフマンは、これらの、対象人数、年齢、追跡年数にきわめて限りがある個々の疫学データを整理して、ひとつのモデルの上に表現した。それは、被曝から10年の間は被曝の影響によるガン死はなく、10年後から増えはじめて、40年後に最大になり、その後また減少していくというものだ。また、40年後に最大になる影響は、被曝を受けた年齢により異なり、0歳での被曝がもっとも影響が大きく、50歳を過ぎての被曝ではゼロ、つまり死ぬほどの影響はないとしている
 個々の事例のデータの値は相当にばらついており、それを、「えいやっ」と平均したようなモデルなので、どこまで妥当かよくわからない面もあるが、1980年当時までに入手できるすべてのデータの蓄積を反映させているとすれば、これに変わるものもないと考えられる。現時点ではチェルノブイリのデータを盛り込むべきと思われるが、そもそもチェルノブイリではまともな疫学調査が行われていないので、今だにゴフマンのモデルを根本的にくつがえすようなものはないようである。

 そこで、私は、このモデルを使って、10万人の子どもたちが、0歳から9歳まで、年間10mSv、合計100mSvの外部被曝をした場合に、その後のガンによる死亡の数を、きわめておおざっぱであるが、見積もってみた。このモデルはアメリカの人口動態に基づいており、日本にそのまま適用はできないが、結果の数字が桁で変わることはないと思われるので、参考になると思う。

10~19歳までに放射線の影響によるガンで死ぬ数 20人(10万人あたり)
20~29歳まで 130人(10万人あたり)
30~39歳まで 700人(10万人あたり)
40~49歳まで 2700人(10万人あたり)
50~59歳まで 4500人(10万人あたり)
「生涯にわたって」放射線の影響によるガンで死ぬ数 12000人(10万人あたり)

 日本政府の公式見解では、「100mSvまでの被曝では影響は無視できる」もしくは「その影響は科学的に証明されていない」ということであるが、この数字は決して「無視できる」ような数ではない。政府が無視しているのは、ゴフマンの研究結果である。

 最終的に10万人は何らかの理由ですべて死亡するわけであるが、そのうち12000人、12%が被曝の影響によるガンで死ぬとすれば、これは相当な比率と言えるだろう。もちろんこの数字は、被曝年齢が上がるとともに下がっていく。また、もちろん、子どもたちが被曝しないように努力することが、現時点でもっとも大切で、蓄積線量が100mSvなどという量にならないようにしなくてはならない。蓄積線量が10mSvならこれらの数字はそのまま1/10になる、というのがゴフマンモデルである。1/10にするとかなり小さな数という印象になるが、決してゼロにはならない。

 さて、すべての人はいずれは何らかの理由で死ぬのだから、「生涯にわたる」数字はあまり意味がないといえるだろう。それより、若い年齢でガンで死ぬことが問題だろう。そうすると、10万人あたり、10代での20人、20代での130人、30代での700人という数字が示すリスクが問題となる。

 この数字をどうとらえるか。福島県をはじめとする日本の現状は、やはり放っておけば、上に示したような数の悲劇がおきてしまうのだと思う。それを、ゼロにするのが、私たちが今から取り組もうとすることだ。

 例えば、20代で130人というのは相当な大きな数字といえるが、別の見かたをすれば、残りの9870人は放射線の影響によるガンでは死なないということだ。被曝してしまった子どもたちが、20代になったときに、全員がこの9870人の側に入ればよい。そうすると、福島での新たな疫学調査の結果は、被曝による影響はゼロということになって、ゴフマンのモデルはくつがえされることになる。そこを目指していきたいというわけである。

 そんなおとぎ話みたいなことが可能なのか?現前としたゴフマンの数字を認めることこそが科学的な態度なのではないか。そういう疑問の声が当然あると思う。

 もちろん、すぐに放射能を消し去るか、すべての子どもたちを安全な場所に避難・疎開させることができれば、それで何も問題はない。ところが、どちらもすぐに達成できそうにないときに、単純にあきらめるのではなく、被害はありえないと強弁するのでもなく、どうすれば被害を回避できるかという方策を探ることこそ、科学的な態度であろう。

 その時に、上で例にあげた20代で130/10万という数字をどうとらえるかがカギになる。これを20代で放射能の影響によりガン死する「確率」と考えて、それは、神さまがサイコロをふっていると考えるならば、いかんともしようがない。一方そうではなく、放射線の影響で亡くなってしまった130人と生き残った9870人の間には、そういう結果になるべき何らかの理由があったと考えるならば、その理由を追及し、今、目の前にいる子どもたちが、将来9870人の側に入るための努力をすることができる。100,000人中、9870人の側に入るのは、それほど難しいことではないように思われる。ゴフマンの研究はこの点について何も語っていない。生と死を分ける何らかの理由や、死を避ける方策が存在する可能性は大いにあると思う。それを追及するところにこそ、科学の力を活用すべきである。

 そして、科学は基本的には、経験に学ぶものである。原爆被爆者の戦後の取り組みについて、耳を傾けよう。自らも被爆し、また被爆者の治療に長年あたってきた医師の肥田舜太郎氏がこのたび発足する「市民と科学者による内部被曝研究会」によせたメッセージの一部である。

http://www.acsir.org/hida_shuntaro.php
7 母親の心配と不安に応える啓蒙活動
子供を持つ母親の放射線被害に対する心配と不安は想像以上に大きく、全国的に広がっている。これに対する政府、東電、関係学者、専門家の姿勢や発表の内容は、殆どが国民の命の危険と生活に対する不安な声にこたえるものでなく、原子力発電の持続と増強を求める業界の声に答えるものと受け取らざるを得ない実情である。
筆者の経験に寄れば、啓蒙を必用とする課題は
放射線そのものについて
外部被曝内部被曝の意味
自然放射線にたいする人間の持つ免疫能力
人工放射線{核兵器の爆発、原子力発電所で作られる」と人間との関係
放射線被曝による被害の治療法はなく、薬も注射も効果はないこと
放射線被害にたいしては被曝した個人が自分の生命力の力と生活の仕方で病気の発病を予防し、放射線と闘って生きる以外にないこと。
放射線の出ている原発から出来るだけ遠くへ移住し、また放射線で汚染された食物や水を飲んだり食べたりしないことと言われるが、それが出来る人にはよいことだが出来な人はどうするかが極めて大事なことで、この問題にどう答えるのかが、この問題の最重要課題である。

8 被曝者の何十年もかけた命がけの経験

被爆者運動のなかには何十万という被爆者が、何十年もの年月をかけて放射線に負けずに長生きするために努力した経験の蓄積がある。日本被団協は組織内の相談活動を通じて、長生きに必要な生き方を30年間毎月1冊ずつ、計26冊のパンフレットを発行し、その中で人間の誰もが行う行為、�睡眠、�食事,�排泄、�労働(肉体と精神)、�休養と遊び、�セックスの六つを、それぞれ、生理的に定められた枠内で正しく行って生きることをみんな で学び、励まし会って実行してきた。今年の3月で90歳以上をふくむ21万人強の被曝者が生き残っているのは、そうした自主的な運動の成果だったと思っている。この経験を、この本の読者や悩んでいるお母さんたちに届ける方法を相談したいと思っている。

基本は、大人について言えば、襲いかかる放射線とは、自分が自分の命の主人になって闘って生きること。子供は、両親が模範的な自分たちの生活の仕方を見せ、体と心の発育については厳しくしつけることしかない。ただし、子供については今の実情のなかでは、少なくても福島県の小学生と中学生 は、原発の放射線放出が確実に止まるまでは政府の施策で強制疎開すべきだと私は考えている。受け入れる地方の県、市町村はかなりあると聞いている。」

 ゴフマンの数字を見ていたずらに恐怖するのではなく、戦後被爆者のたどった命がけの試行錯誤に学び、今私たちがすべきことを導き出したい。自分がすべきこと、できることが分かった時に、私たちは恐怖心や不安を克服できる。周囲の大人たちが放射線を怖がらないこと。これが、子どもたちを放射線の被害から守るために、とても大切なことと思う。

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テーマ:放射能対策 - ジャンル:育児

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