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井田徹治(いだ・てつじ)[原発の不都合な真実]「第13回 料金制度が支えた原発建設(その1)」2012.2.18.
[原発の不都合な真実]「第13回 料金制度が支えた原発建設(その1)」2012.2.18.

 これまで述べてきたように米国や英国では、政府が原発推進政策を堅持していても、高騰する建設費などの初期投資の大きさや投資が回収できるまでのリスクの大きさから電力会社や投資家が原発建設に二の足を踏んできた。それではなぜ、日本では原発の増設がこれほどまでに進んだのだろうか?

 理由はさまざまだが、一つには「レートベースに基づく総括原価方式」という日本の電気料金制度があることが指摘されている。「現行の日本の電気料金制度では、原発を造れば造るほど、電力会社が儲かる仕組みになっている」と言われているのである。

 電力料金制度は実に複雑な制度である。日本の場合、後で述べるように、電力自由化が進んでいる「自由化部門」の「自由化料金」と、自由化されていない小口、つまり家庭用の「規制料金」の二つがある。ここからは家庭用の「規制料金」の話だ。

 総括原価方式とは、発電と送電にかかったすべての費用、つまり「必要とされた原価」に一定の事業報酬を加えて料金を設定する制度である。政府の資料を見ると、下図のような式が記されている。

[総収益]=[総括原価]=[適正費用]+[公正報酬(事業報酬)]=[営業費+減価償却費+諸税・・・]+[レートベース(事業資産)×報酬率]


 そして「この式が成り立つように、料金を設定する」となっている。
 大規模なインフラ投資などを必要とされる電気事業では、この制度によって、安定的に費用の回収ができるため長期的な設備投資ができるようにするべきだ、というのが総括原価方式を導入する理由だ。

 一つの問題は「適正費用」とされているものが、本当に「適正」であるのか、という点だ。もう一つは事業報酬が本当に「公正な報酬」であるのかという問題がある。

 まず、後者から見てみよう。

 電力会社の事業報酬は「レートベース方式」という手法で定められることになっている。上の式から分かるように「レートベース」というものに、一定の報酬率、つまり電力会社の儲け率を掛けて料金を決めることになっている。報酬率は年によって違うのだが、3・5%前後。

 この制度は、発電所の建設をどんどん進めることが社会的な要請になっていた高度成長期の1960年に決められた古い制度なのだが、50年間、一回も見直されていない。

 それではレートベースとは何だろうか?レートベースは「電力事業を行うのに必要な資産が持つ価値だ」と説明される。具体的には、固定資産、建設中資産、核燃料資産、運転費などの総計で、研究開発費や資源探査などの「特定投資」と呼ばれるものも含めていいことになっている。

 建設中資産とは、「電力需要を満たすために必要」と、電力会社が判断して建設を始めた発電所の資産価値のことで、レートベースにはその半額を算入していい。

 報酬率は一定でも、レートベースが大きくなれば事業報酬は大きくなる。逆にレートベースが小さくなれば報酬も小さくなる。つまり、同じ発電所を造るなら、巨大な資金を必要とする原発を建設した方が「レートベース」も大きくなる。さらに核燃料所有額までも「レートベース」に組み入れることができる原発は、火力発電所などを建設するよりも、事業報酬も大きくなるということになるのだ。

 しかも、核燃料所有額の中には、原子炉に装荷する前の核燃料や、原子炉で燃やし終わって保管している使用済み核燃料も「資産」として含まれることになっているので、原発が増えて、必要な核燃料や、使用済み核燃料の量が増えることが、報酬アップにつながるということになる。これが「原発を造れば造るほど、電力会社は儲かる仕組み」の一つである。(続く)(2012年02月18日公開、肩書は当時)

グラフ:家庭部門用途別エネルギー消費量>>

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テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済

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