Yoko's 人生=旅 on this Blue Planet
高速回転中の青い惑星地球、負けじと走り回る一人の記録。
小野俊一医師 「フクシマの真実と内部被曝」 2012年5月27日 屋久島
「フクシマの真実と内部被曝」 2012年5月27日 屋久島


屋久島-フクシマの真実と内部被曝 2012年5月27日



講演内容:・私の経歴 小野俊一
総括原価方式のわかりやすいたとえ
・フクシマで何が起きたのか(地盤沈下、ベント、メルトアウト
・世界規模の汚染
放射能による内部被曝とその症状
原爆と原発は双子の兄弟
ガレキ拡散をしてはならない理由
除染不可能な理由
・肥料汚染

詳しくは>>院長の独り言

**ほぼ同じ内容の書き下ろし**
「フクシマの真実と内部被曝」

(目次)
1. 私のバックグラウンド
2. 原発の原理・問題点・電力が推進する理由
3. フクシマ事故の推移と放射能汚染
4. 放射能の影響?と思われる奇形動植物
5. 内部被曝とその影響
6. 始まりは、ヒロシマ、ナガサキ
7. ガレキ問題
8. 除染・腐葉土・再稼働
9. われわれはこれから何をどうするべきか

                    
1 私のバックグラウンド 
広島生まれの宮崎育ち。1988年東大卒業と同時に東京電力に入社、福島第2原子力発電所の配属となるが、1993年本店原子力技術課に異動。1995年の阪神大震災に際しては、同レベルの地震においても原発は安全であることを証明せよと結論ありきの資料作成を役所から命じられ、実際に作成した(全電力会社が作成)。オウム真理教の地下鉄サリン事件もあったこの年、東電を退社。2002年熊本大学医学部(血液腫瘍内科)を卒業して、熊本市内に医院を開業、今日に至る。このような経歴が、今日フクシマ事故について語ることのバックグラウンドになっている。

(コメント)当時の上司が福島第一原発の所長になっていたり、マスコミ取材に応じたりしているとのこと。原発と医学の両方に精通した非常に特異な経歴が、この後の講演の中でも随所で光っているように感じました。

2 原発の原理・問題点・電力が推進する理由
 原発は何も高度なことをしているわけではなく、原発の原理は原子の力でお湯を沸かすだけ。その蒸気でタービンを回し、その力で発電機を動かして発電している。蒸気でタービンを回すのは火力発電と同じだが、火力が熱量約半分で発電し、残り半分を捨てているのに対して、原子力は3分の1で発電して3分の2を捨てるほど非常に熱効率が悪い。また蒸気を冷却するために、日本では例外なく海水を使っているので、排熱により海水温を7度も上昇させている。


 中性子をウラン235にぶつけて核分裂反応を起こすと、上述の熱エネルギーとともに、中性子と核分裂生成物(=放射能)が出てくる。ウラン235からは2コの核分裂生成物ができるので、福島原発事故によってセシウム137が出ているということは、ストロンチウム90なども1対1の割合で必ず出来ているということ。

 ウランの原子核を分裂させて熱エネルギーを取り出すのは、原発も原爆も同じで、ゆっくり取り出すのが原発で、一挙にドーンとやるのが原爆。原理も生成物も何もかも同じなので、原発の裏には必ず原爆が控えている。これが大切な点である。

 こうして出てきた核廃棄物処理については1000年後までの管理が大事と言われており、さらに完全に無毒化するためには数万年を要すると言われている。だがおよそ千年前といえば源氏物語の時代であり、数万年前といえばクロマニヨン人だのアウストラロピテクスだのの時代であることを思えば、もはや言葉さえ通じないほど遠い未来の子孫に処理を押しつけることになる。私はかつて東電社内で1000年後とはいくらなんでもおかしいではないかと上司に言ったことがあるが、東電自らがしっかり管理すると言ってるものをなぜ反対するのかと、真顔で言われた。東電はそういう会社である。

 役所の試算による各発電単価はいつでも必ず原子力がいちばん安く、だから原発推進ということになっているが、これは公開資料によってウソであることがわかる。東電が出している設置許可申請書(国会図書館等で閲覧可能)では、どの原発の発電単価も軒並み他の発電方式より高額になっている。最も古くて動かせば動かすだけ儲かると言われていた福島第一原発一号機でさえ十数円、対するに火力3~4円、LNG6円というほどの大差であるのに、役所が出したウソの数字だけが独り歩きをしている。

 ではなぜ電力会社がお金のかかる原子力発電をやりたがるかといえば、電力独自の総括原価方式によって、経費が高い方が儲かる仕組みになっているから。すなわち一般会社においては、収益-必要経費=利益だから経費節減努力をして利益を増やそうとするが、電力会社だけは、必要経費×3%=利益にできるので、必要経費が高いほど3%分の利益も増大する仕組みである。

経費が高いほど儲かるなんてふつうの人にはなかなか納得してもらえないが、電力会社の場合、経費は電気料金として消費者に転嫁できるので、自分の懐を痛めずに儲けだけを手に入れられるわけだ。たとえ話として、自分が持っている3%のポイントカードで誰かが奢ってくれて、ポイントは自分がもらえるとしたら、安いものより高いものを奢ってもらった方が得するということ。

また電力会社の膨大な必要経費はそのまま他社の収益につながっていくので、経済界はこぞって原発推進をうたい、消費者のみが反対する構図になっている。

(コメント)なんともムシのよい総括原価方式に皆さん唖然。経費を増やす経営努力??
セシウムとヨウ素ばかりが注目されていたけど、骨に蓄積するストロンチウムも、核分裂のしくみからいったら必ず出てるってことなんですね。でもいまだに魚類のストロンチウム汚染などは調べられていないようで心配です。

3 フクシマ事故の推移と放射能汚染
枝野経産大臣は地震で施設破壊は起きていないと言っているが、これはウソ。民間事故調査委員会が、地震直後の福島第一原発作業員の「生蒸気だ。主蒸気系が壊れてる」という証言を報告しているが、主蒸気系の配管場所からして津波では壊れるはずがない。福島原発立地地点は地震により2・5メートル東に移動して50センチも沈下しており、まさにこの地盤の移動によって配管が壊れた。地震の揺れだけではなく地盤の移動も同時に起きて壊れたことに注目すべきであり、大飯原発の再稼働に際して○ガルまで耐えられる等と言っても、地盤が動けばひとたまりもない(そして地震で地盤は動く)。

そもそも人間は誰ひとりとして、原子の火のオン・オフスイッチを持っていない。だから原子炉を台所に例えれば、原子炉とは火力調節つまみはあっても消火スイッチのないガスコンロのようなもの。またベントというのは、圧力鍋の圧力抜きと考えればよい。

フクシマ1号機事故の推移を台所のたとえで見ていくと次のようになる。

・通常運転時は圧力容器の中いっぱいに水がたたえられている。
 →ガスコンロの鍋いっぱいの湯が煮立って中身が煮えている。
・地震により注水機能が消失した。
 →ひたひた状態。
・圧力容器の水が喪失して炉心溶融が起きた。
 →中身が焦げてしまった。しかしコンロの火は消せない。
・メルトダウンした(核燃料が圧力容器の底に溶け落ちた)。
 →中身が鍋底に真っ黒に焦げ付く。しかし火は消せない。
・必然的にメルトスルーした(核燃料が圧力容器を貫通し、格納容器に溶け落ちた)。  
フクシマの沸騰水型は原子炉の底に穴が空いていてそこから制御棒があがってくる構造(いわばザル)なので、溶け落ちた高温の核燃料は当然その穴から抜け落ちてしまう。沸騰水型原子炉でメルトダウンが起きたら100%絶対にメルトスルーも起きる。それをごまかすのは無知か不勉強かウソ。
 →鍋の中身が外に出てコンロ周りがぐちゃぐちゃ。火はさらに燃え盛る。
・圧力容器の圧力上昇のためベントを実施した。
 →圧力鍋の蒸気抜き でも火を消せないので本質的な改善はなし。
・公式には認められていないが、状況から類推して当然メルトアウト(核燃料が格納容器を突き抜け、建屋のコンクリートを破壊し、外部へ浸透)も起きただろう。
 こうして地上、地下、海水が高度に汚染されてしまった。

ちなみに2008年原子力防災専門官向け事故シナリオでは、これら一連の事故経過が全て予測されていた。専門家はみんなフクシマでメルトダウン、メルトスルーが起きたことがわかっていたのである)

1号機と3号機の爆発映像を見くらべてみると、1号機の噴煙は水平方向に広がり、3号機はオレンジ色の閃光を発した後、垂直方向600メートルの高度まで(スカイツリーの高さ)黒煙がたちのぼった。ともに水素爆発と言われているが、爆発の形状は明らかに違う。次に3号機と原子爆弾の爆発映像を見くらべてみると、きのこ雲がたちのぼっていく様子がそっくりであり、1、2、4号機とは明らかに異なる激しい破壊状況も含めて、3号機は核爆発であったと私は考えている。また3号機の使用済み核燃料プール(ここに当初計画以上の使用済み核燃料と未使用核燃料を保管していた)も4号機とは違いぐちゃぐちゃに壊れていて、核燃料の取り出しは不可能といってよい。

チェルノブイリ事故は出力100万kwの1基のみで、稼働3年目のため使用済み核燃料も僅かだったが、フクシマは4基合計で出力280万キロワット、使用済み核燃料は出力量の3倍ほどもある。しかるに放出放射能量はチェルノブイリ1億8千万キュリーに対して、フクシマ77万テラベクレル(1000万キュリー)と言われている。なぜフクシマの方が出力が大きいのに、こんなに少ないのか、キュリーにしたらなぜこんなにきりのよい数字なのか、おおいに疑問である。ともかくもフクシマのコントロールできていない核燃料の量は、今までに世界中で起きた核事故の総量をはるかに上回っている。これこそが今回の災害のキモである。

ヒロシマ型原爆のウラン使用量(1kg)との比較では、100万kwの原発が1日稼働して3発分、1年で約1000発分の使用済み核燃料(死の灰)を生み出し、燃料プールなど諸々を計算すると、フクシマの死の灰の総量は5トン~10トン、ヒロシマ型原爆5千発から1万発分と思われる。にもかかわらずフクシマではヒロシマ原爆の168倍のセシウムが飛散したという過小評価が公式発表されている。

なぜ過小評価といえるのか、報道されているテラベクレルというわけのわからない数字を全て重量換算したときに、ヨウ素の放出量40g、セシウム137は5kg(ペットボトル一本分)プルトニウム1.4gとなって、想定される5トン~10トンと全く桁が合わないからである。600メートルの高度まで噴煙が噴きあがって、放出量がグラムだのキロだのという単位であるわけがない(だいたい5トンぐらいは出ているはず)。みんなテラとか京(けい)とか言われてごまかされていないで、重さで話をしてくれと言えばよいのだ。そしたら大ウソであることがすぐばれる。

東電小森常務(当時)が「致死量の放射能が出た」ことを認めたと外電では報じられているが、日本では報道されない。NHKの番組では世界で初めて都市が放射能汚染されたことを認めており、今現在もフクシマから放射能は日々漏れ続けている。2号機の格納容器内では72㏜/hrという1時間そこにいたら広島の爆心地にも匹敵するとんでもない放射能があるにもかかわらず、野田首相は収束宣言をした。これは全くのウソ・デマであることは明らかである。ウソなのに誰も何もいわずに人々は相変わらず東京で普通に暮らしている。

今後の見通しについては次の通り。
・人間には原子の火を止めることはできない
・30年で廃炉は、現実的にムリ
(原子力ムラが30年というのは出来ないという意味、30年後には誰かがやってくれるかもしれないという程度の話で、現に高速増殖炉も30年で実用化のはずが、30年経ったときには50年で実用化という話になっていた)
・今後も、再臨界を何度も起こす
・収束方法は誰にもわからない
・人類史上、最大、最悪の災害
・地球上にいるかぎり、この災害から逃れることはできない(全員が当事者)

 汚染状況については、放射能は拡散することはあっても消えることはなく、フクシマの放射能は偏西風にのり太平洋を横断してアメリカ西海岸に到達している。さらに渦を巻くように大移動して、北米、アラスカ、ロシア、朝鮮半島、中国なども汚染しているし、大西洋を渡ってヨーロッパにも到達、すでに全世界を覆っている。この汚染規模を見れば屋久島が福島から1000キロくらい離れているからといって、だいじょうぶなわけがない(風向きによって多少救われてはいるが)。

海洋汚染についても昨年4月にもはや三陸沖はかなりやられて、11月には太平洋に広く広がり、今年3月にはハワイの間近にまで到達している。屋久島は海流によって救われているともいえるが、魚は動きまわるので放射能が全然来ていないことはないはず。

 原子力発電所内での放射能防護は、表面汚染がもっとも重要視されている。従って、日本の汚染状況を空間線量で色分けして示している早川汚染地図を表面汚染に換算して考える必要がある。すると同汚染地図上の郡山市や福島市の1.3μ㏜/hrは約400K㏃/㎡となり、原発敷地内ならば全面マスクの装着が義務付けられ、飲食はもちろん調理、栽培も禁止、これに反したら法令違反という区域になる。東京ディズニーランドも含む広範な地域は0.3μ㏜/hr≒40K㏃/㎡となり、原発敷地内ならば汚染を隔離するために所定の装備に着替えることが必要な区域となる。それくらいに広範囲に汚染されているということ。

(コメント)事態のあまりの重大さ、国民は明白なウソばかりを聞かされてきたという事実に打ちのめされる思いでした。公式発表より遥かに多くの放射能が出ているのに、それでもまだ大量に残っていることも脅威です。使用済み燃料プールの貯蔵量の表を見ていたら、倒壊が心配されている4号機プール(約1500本)のそばに使用済み燃料共用プールがあって、そこには6375本もの核燃料が・・・。1~4号機のいずれかで線量が上がり、そこら一帯に近づけなくなったらと想像するだけで鳥肌がたちます。

4 放射能の影響?と思われる奇形動植物
 まだ放射能の影響と断定することはできないが、耳なしうさぎ、白いカラス、黄色いアンコウ、白いナマコなど非常に珍しい奇形が各地で報告されている。スリーマイル島事故で見られたキメラ(半分ずつくっきり色がわかれる)もナシやミカン、キク、ロブスターにまで出現。花の中から花が咲く奇形や、おしべめしべが花弁化する奇形、花の色が色褪せる、今年は鳥や虫の数が少ない等の報告も集まっている。新聞はストレスが原因か等との記事でごまかしているが、「虫や鳥や木が消え始めたら、次は人間が消えていく番だ」というのが、生物学の大法則である。

5 内部被曝とその影響
放射能というのは放射線を出す能力のことで(放射能の強さを表す単位㏃)、放射能をもった放射性物質から出てくるのが放射線(人が受けた放射線影響の度合いを表す単位㏜)。医療用放射線の場合は、スイッチを入れたときに放射線が飛ぶだけで、スイッチを切れば消えるし、放射性物質(放射能)は出てこない。ところがこれをあえて混同して、0.3μ㏜/hrをホットスポットとして警戒する人に対し、0.3μ㏜/hr=2.6m㏜/yearだから頭部CT1回分にすぎず、何の害もないと考える医師や専門家が殆どで、彼らは放射能を「正しく」恐がれという言い方をする。

自然放射線も人工放射線もα線、β線、γ線からなっていることは同じで、外部被曝(体外にある放射能からの被曝)においては、自然も人工も区別する必要がない。しかし内部被曝(呼吸や飲食により体内に取り込んだ放射能から受ける被曝)においては、元素によって体内挙動が全く違ってくるので、外部被曝と内部被曝はまったく違うものとして考えなければならない。

ところが山下俊一氏(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)は、同じシーベルトの数字なら外部被曝でも内部被曝でも人体への影響は同じと言いきっている。放射能の本当の影響などまだ誰も何もわかってはいないのに、このように言ったとたん、何もかも安全ということになってしまう。

 ㏃(内部被曝の影響評価)を㏜(外部被曝の影響評価)に換算する実行線量係数というさも科学的なようででたらめな係数も存在し、これを用いればどんな野菜を食べてもガンにもなんにもならないということが証明されてしまう(そのために作った係数だから)。そして実際に健康被害が出ても、こんな数値で出るはずがないから放射能が原因ではないと言われることになる。カリウムとセシウムは断然別の物質なのに、人体中に放射性カリウムが存在するから、セシウムでガンになるというのはウソだという放射能安全デマも語られている。

核分裂生成物(放射能)がふたつに割れて、ヨウ素やセシウムが出たら必ずストロンチウムなども出ることは先に述べたが、そのほかにも無数の放射性元素が出現し、しかもその体内挙動についてはまだ何もわかっていない。そんな状況で外部被曝と内部被曝の影響が同じだなどと言えるわけがない。またそれらの多様な放射性元素が放射線を出しながら放射性崩壊をして、別の物質に変化し続けていくことも問題を複雑にしている。半減期というのは放射能が半分になるだけであって、その4倍の時間をかけてようや16分の1まで減るということ。放射能の影響はずっと続いていく。

放射性物質の種類によって蓄積する臓器は異なるが、上述のとおり無数の放射性元素の体内挙動は殆ど不明で、しかも体内でもどんどん変化していくのだから、体の方が混乱するのは明らか。ヨウ素の甲状腺蓄積だけはIAEA(国際原子力機関)もようやく認めたが、チェルノブイリでも事故後3年後くらいまで全く出現しなかった甲状腺癌が今回はすでに出ているので、フクシマは予想以上に進展が早いといえる。ストロンチウムはおそらく摂取後1日くらいのうちに骨に蓄積して、白血病などを引き起こし、セシウムは筋肉に蓄積して、心臓の筋肉の場合には心不全による突然死などを惹起する。セシウムは化学的にも非常に反応性の激しい物質で、こんなものが安全であるわけがない。

ちなみにJTはセシウム100㏃/kgのタバコの葉は混ぜて使うと言明しているので、タバコにもセシウムは入っているし、タバコの火が700℃であるのに対して、セシウムの沸点は641℃なので、肺にも副流煙にも気体のセシウムが入ってくる。

ガンや白血病ばかりが話題になっているが、内部被曝の本当の怖さは細胞全体の壊死が起こること。血管、心臓の筋肉などの壊死は突然死につながり、事実心筋梗塞、脳卒中の増加報告が出ている。限られた範囲の脳細胞の死は、知能低下を招く可能性もあり、関東地方では40代で痴呆症発症例などもでてきている。しかしこれらについては十分な評価がなされておらず、全て起きないことになっている。過去の大災害疫学調査の結果と異なり、東北大震災後においては不全、脳卒中などが有意に増加しているとの学会報告もあるが、原因はストレスのせいにされている。その他にも突然死、若年死の報告が出てきている。その一方で放射線健康リスクアドバイザーの山下俊一氏は、ガンのリスクが上がるのは年間100m㏜以上であり、それ未満ならリスクはゼロと明言している。

(コメント)わからないことを含めて無数の問題があるのに、特定の放射能や病気だけに注目させるのも、目くらましのひとつなのですね。様々な騙しの手口が見えてきました。それにしても専門家が専門知識を使って素人を騙しているなんて・・・。小野先生のように専門知識をかみ砕いて、素人を啓発してくださる方ばかりならよいのですが。

6 始まりは、ヒロシマ、ナガサキ
フクシマ事故がどのように進行したかを述べてきたが、その前にそのような広大長期の被害をもたらすようなものが、なぜそこにあったのか。私たちはまずそこを突き止めなければ、問題の本質を理解したことにならない。話の始まりは広島長崎で暮らしていた人々の上に落とされた原爆である。それがわからない限りガレキ処理という直近の問題も、原発の本当の黒幕も理解できない。そのために「原子力、その隠蔽された真実 人の手に負えない核エネルギーの70年史」(ステファニー・クック著 藤井留美翻訳 飛鳥新社)という本をぜひ読んでもらいたい。

1945年8月6日午前8時15分広島に原爆投下。投下後の影響調査をするためには多くの人々が屋外に出ていてほしい、そのために始業時をねらっての投下であった。その被害の全貌もまだ全く見えない3日後、長崎に原爆投下。広島型ウラン爆弾と長崎型プルトニウム爆弾は構造も原材料も何もかも違うので、2種類をぜひとも試す必要があっての立て続けの投下であった。米国が原爆投下後23年目に提出した国連原爆白書には「残留放射能による被害なし、生存被曝者は全て健康」と記載され、これが国連のベースになった。

ICRP(国際放射線防御委員会)のリスクの考え方は、現地の住民にリスクを受忍せよと迫って、被曝を強制したうえに、被害が表われると、自分たちで過小評価しておいた放射線リスク評価(100m㏜/yearまで安全)を用いて、「科学的には」因果関係が証明されないからその被害は原発の放射能が原因ではないと、被害を切り捨てるもの。
今まさに日本でそれが起きている。

内部被曝の実態が明らかになると核兵器開発ができなくなるため、内部被曝の実態は常に隠されてきた。だが私たちにはヒロシマナガサキの実体験があるのだから、内部被曝の実態を知るために、医師の肥田舜太郎先生、橋爪文さん、はだしのゲンの作者中沢啓治氏らに学ぶことが大切である。

写真撮影さえ禁止されていた当時、中沢氏がマンガ家特有の感性で記憶に焼き付け作品化したはだしのゲンには、原爆投下後救援のために市内に入った元気な兵隊たちが、たちまち下痢をしたり血を吐いたりして亡くなっていった話が出てくる。この入市被曝は他の原爆資料にも記載されている明確な事実であり、明らかな内部被曝であるが、これは日本政府が認めていないので、ないことになっている。内部被曝を認めると核兵器が使えなくなるので、内部被曝はないことにされるのだ。

非常にだるく、仕事や家事ができず、本人とっていちばん辛い症状であるにもかかわらず、治療法が分からず、いろんな検査をしても異常がないので病気とは認められず、ショックによる精神障害のせいにされてしまうのが原爆ぶらぶら病だが、今現在の日本でも諸症状がストレスやショックに起因するとされている。東北の精神科医によれば、特に原因に思いたらないのに、不眠、食欲低下、強い倦怠感、集中力の著しい欠如等ぶらぶら病に似た症状を訴える患者が、震災後時間の経過とともに増えているとのことだ。
また原爆後遺症はガンや白血病にとどまらず、ほとんど全ての全身病の性格をもつことが、原爆投下8年後日本の新聞に発表されている。

 ABCCは、原爆被害を追跡調査するために、被曝死亡者の死体を解剖して臓器を保管するなどしてきたアメリカの国家研究機関であるが、死産や生後すぐに死亡した被曝赤ちゃん1200人の調査結果として、現段階で放射能による遺伝的影響はみられないと結論づけた。同様に日本の研究施設でも、動物実験では放射能の遺伝的影響が確認されているが、ヒトでは発生事例は確認されていない(両親の被曝の有無と死産、奇形の発生確率に統計上の有意差はない)から安全だとしている。

 しかし当時の産院経営者は、当時奇形児がたくさん生まれたこと、全てをABCCに報告するシステムだったものの、報告をきらう親もあってしなかったこともあったことを証言している。ネット上で閲覧可能な「世界は恐怖する 死の灰の正体」(1957年)という映画には、ヒロシマナガサキで生まれたシャム双生児、無脳児、単眼症などの実例が映し出されている。ABCCに勤務していた日本人医師も多数奇形児の存在を証言しているし、広島に現在も小頭症患者が生存していることは、地方版ドキュメンタリー番組でも放映されて地元では周知の事実である。上記のとおり事実として、被曝による奇形児は生まれているのである。

(コメント)奇形児が遺伝子に起きた異常を意味するならば、今後何世代にもわたって遺伝子の異常が続いていくのでしょうか?それとも人間は(生きものは)遺伝子の異常を修復できる力を持っているのでしょうか?
このように内部被曝は極めて重大な問題をもたらすのに、核兵器開発の妨げになるからと全てがないことにされてしまう恐ろしさ。私たちの無関心が長年それを許してきてしまった情けなさ。ヒロシマナガサキとフクシマが一直線につながっていることが、よくかりました。歴史に学ぶこと、苦しんでいる人々から学ぶことの大切さも痛感させられました。ここでの訴えは、小野先生の口調にも一際力がこもっているように感じられました。

7 ガレキ問題
 ここまでの話がわかれば、ガレキ問題については議論の余地なく答えが出てくるはずだが、ガレキ焼却中の東京都知事が本気で東北の田舎のことを考えているとは到底思えないし、ガレキ受け入れ断固推進中の静岡県島田市長は元産廃業者社長である。放射性物質の受け入れ基準は、311前セシウム100㏃/kgであったものが、311後は8000㏃/kg以上10万㏃/kg以下のものでも、一定の条件のもと一般廃棄物最終処分場で埋め立て処理ができることとした。これは内部被曝の被害を意図的に無視したものであるし、この基準を改定した環境省自らが放射能の知見はないと公言している始末だ。

 ガレキ焼却によって放射能汚染や健康被害が起こった場合の責任について質問した宮崎県に対し、環境省は、そのような事態は想定していませんと公式回答している。
茶などの産物に対する風評被害を心配する市民に対して、島田市は、全国各地でガレキ受け入れを進めているので風評被害は起こらないと考えていますと公式回答している。

 放射能汚染地図を見ても、津波被害があった地域はすべて放射能汚染されていて、安全なガレキなどないことがわかる。カドミウムや水銀、ダイオキシン等をそのまま埋め立てて土をかぶせれば安全と考える人は誰もいないはず。セシウムはさらに激しく水と反応して溶けるのだから、放射能が環境に漏れ出ればダイオキシンどころではない多大な被害が出るのに、国は内部被曝を一切無視しているので安全と言い切っている。

その後ろにアメリカがあり、原爆、核兵器があるわけで、もしも内部被曝を認めてしまえば、ドミノ倒し的に原発どころか原爆も水爆も廃止になって、パワーバランスがくずれてしまうからだ。そして東北地方にのみ内部被曝の症状が出たのではまずいので、わざわざ北九州あたりまで持ってきて全国民等しく被曝させ、被害が出ても放射能が原因ではないと言い逃れることが、ガレキ問題の狙いだ。フクシマ原発敷地とその周辺はかなり広大な土地なので、住民には十分な説明と補償をして、ここに埋め立て処分するほかはないと思う(放射性セシウムは沸点が低いので焼却すると大半が空中に出てしまう。バグフィルターの補足率はたかだか6割程度である)。

チェルノブイリの専門家バンダジェフスキー博士は、このような形で情報を隠し続ければ、数十年後には日本人という国民は本当に僅かになってしまうと警告している。これには根拠があって、チェルノブイリ事故以降、ベラルーシの人口増加が止まって減少に転じ、どんどん減る一方だからだ。チェルノブイリが一、二週間ほどの間に石棺で固めて辺りを封鎖し住民を強制移動させたのに比べて、日本は全ての原子炉を解放したまま、放射能出しっぱなしで、住民もそこに住まわせ、食べて応援、ボランティアで応援等と言っているのだから、このままではベラルーシ以上の被害が起きるのは確実である。
 
(コメント)屋久島にもガレキ焼却の噂があって、最後の質問コーナーでも質問や意見が出ていました。運賃だけ考えてもわざわざ東北から屋久島まで運ぶなんてありえないと思うのですが、本当の目的が国民総被曝なら、採算度外視ってこともありえるのかも?ここで学んだ内部被曝の本当のこわさをみんなに知らせて、力を合わせて屋久島を守っていかなければ!

8 除染・腐葉土・再稼働 除染をしてもなぜ除去できないかといえば、先の実験映像で見たとおりセシウムは水に激しく溶けて爆発的に反応するからである。またセシウム0.1g(塩1粒分)を1ℓの水に溶かして30坪(60畳)にばら撒いた状態が、5.2μ㏜/hr(チェルノブイリ強制移住区域)という超高汚染濃度に匹敵するので、誰が考えてもこんなものを除去できるわけがないのである。

 戦時中は鬼畜米英を倒すため本気で竹槍訓練をしていたが(内心疑問を感じても口に出せずに同調するのが日本人の国民性)、現代日本の除染の武器は高圧洗浄機だけ。チェルノブイリでいろいろやってみて諦めざるをえなかった除染を、高圧洗浄機でやろうというのは、竹槍訓練と同じこと。

 放射能が入った腐葉土や肥料を平気で流通させている事実があるが、人々が気付いて問題にしはじめると、今度は油断している屋久島あたりにどんどん入ってくる可能性が非常に大きい。いったん汚染肥料等をばらまいてしまったらもうその土地は終わり(除染は不可能)なので、ぜひ各人が簡易な線量計を購入して、肥料等を買う前にその場で計測してほしい。そして汚染が見つかった場合は、ただちに店側に撤去を申し入れてほしい。そのような消費者行動によって、業者の意識も変わっていくからだ。

 農水省の肥料基準でも、原料汚泥中のセシウム汚染濃度が、200㏃/kg以下の場合は、汚泥肥料の原料として堂々と利用できるとしている。また汚泥肥料は主に農家向けのものであり低価格なので広域流通しないと言っているが、こんなものはいずれ誰も買わなくなるので、いよいよ売れなくなったらタダでもいい、お金を払ってもいいから引きとってほしいという話になって、流れ流れてくる可能性があるので要注意。屋久島の空から放射能が降ってこなくても、流通で肥料として入ってきたら、もう終わりだ。

 各地の原発立地をちょっと見ただけでも、再稼働など論外であることがすぐわかる。
たとえば玄海原発は半島の付け根に2基、その奥海側にさらに2基があるが、付け根の1基で事故が起きたら奥に行くことはできないので、海側の2基は放置せざるを得ず、4基は全て一蓮托生の運命にある。たとえば岬の突端の美浜原発原子炉と事務棟をつなぐ補給路は、たった一本の橋。この橋が落ちたら全ては終わりだが、どうやら橋は落ちないことになっているらしい。こう見てくると広大な敷地(正門まで40分、構内に信号)を有し海沿いに一列に原子炉が並んだフクシマは、不幸中の幸いにも、事故対応には最高の条件を持っていることがわかるくらいだ。

 玄海原発で事故が起きた時のシミュレーションを見たら、九州全域がもう住めなくなることがわかる。川内原発のシミュレーションでも同様だが、川内で事故が起きたら屋久島の皆さんは直ちに逃げ出さなければならない。海洋汚染のシミュレーションでは、川内原発の事故で有明海が高濃度に汚染され、事故後1ヶ月で屋久島周辺の海まで完全に汚染されてしまう。

フクシマ最大の教訓は、絶対に起きませんと言っていたことが現実に起きたということ。だから川内原発再稼働の話が出たときは、事故が起きないなんて話は信じられない、事故が起きたときに自分たちをどういう経路でどうやって逃がしてくれるのか、その後の生活はどうしてくれるのか、賠償はどうするのかと九電に詰め寄っていただきたい。事故を起こす起こさないの安全論議をしても水掛け論に終わるので(私も安全課の仕事をしてきたので、皆さんが束になってかかってきても原発を安全と言いくるめる自信はある)、あくまでも事故が起きた後の話がポイント。

九電管内の原発で事故が起きたら、九州は終わりである。どんなに安全装置をつけても事故は起きるというのが、フクシマの教訓。阪神大震災クラスに耐える、何メートル級の津波に耐えると言ったところで、それを超えるのが自然の力なのだから、常に事故は起きるものだとして考えなければならない。自動車を運転する人は、普通なら無制限の賠償保険に入って、事故を起こしたときにせめて金銭的な賠償はしようとするだろう。しかし電力会社が原発事故を起こせば絶対に賠償しきれないのだから、これは実質無保険(自賠責保険だけ)で車を運転しようとするに等しい。それでも運転したいというなら、事故の場合の賠償額、賠償方法を明示せよと迫らなければならない。

(コメント)汚染肥料で土地が汚染されたら作物も汚染され、それを食べたら内部被曝。放射能はゴミや排泄物の中にも入って、燃やせば空気、海に流せば海を汚染するから、文字通り「終わり」なんですね。JAの肥料はだいじょうぶかな?測ってみないと…。
川内原発、屋久島間は約160キロ。でも実は福島から200キロ、300キロ離れた土地からも、続々避難者が出ています。そして現地に留まった人々は、事故後ただの1日も休むことなく放射能との戦いを強いられているのです(当事者の言葉)。その息詰まるような緊張と不安、それだけでも十分な被害といえるのでは? 200キロ、300キロ離れていてもそうなのだから、福島の方々ならなおのこと…。
私たちにしても、九電が特設避難船を出してくれるとは到底思えないし、東日本にも清浄な食品を供給できる食糧基地を守りぬくためにも、原発再稼働を絶対に許してはなりませんね!安全論議ではなくて避難や賠償の話を・・・小野先生直伝の戦いのコツを肝に銘じておきましょう。

9 われわれはこれから何をどうするべきか
 私の情報発信はブログをほぼ毎日更新(約500万アクセス)とツイッター。情報収集はツイッターがいちばん早くて正確と思う(ガセネタもある)が、信頼できるブログもいくつか見てほしい。政府、NHK、マスコミの報道はいちばん当てにならないが、稀に第一報でとんでもない真実を報道したあとで、後からウソに訂正することがあるので、第一報を重視して欲しい。本物の情報には矛盾がない(東電の説明ももはや矛盾だらけになっている)。これらを覚えておけば、本物の情報か否かを見分けられるようになるだろう。

 今日の話をまとめると次のようになる。

・フクシマの原発は止められず、放射能汚染も継続する。
   誰も止め方がわからないのだから。
・汚染されたガレキ、放射能を含んだ商品に何ら規制がかけられず、内部被曝の被害は全国に拡散し続けている。
  これは意図的に拡散し続けているということ。私たちは殺されようとしているのだ。その裏にはアメリカがいて、原爆、核兵器の問題があるから。超大国を相手にする限りは、私たちひとりひとりがリーダーの自覚をもって自分の判断で立ち上がらなければならない。誰かに任せてついていくというあり方はダメ。
・屋久島、日本どころか、全世界が被害をこうむっている。
・全生命の問題。内部被曝の勉強を。
  核兵器の問題があって、内部被曝は意図的に隠されているからこそ、勉強が必要。
・ガレキには明確に反対。子どものためにできることを。
  ただしガレキを止めたからといって、戦いは終わりではない。その先には国内の原発を止める、国外の原発も止める、核兵器もやめるという大目標が控えている。韓国、中国の原発1基が事故を起こしても日本は終わりなのだから。100キロマラソンを走りぬくつもりで、息切れしないようにできることをやっていきましょう。

(コメント)人類史上最大、最悪の災害に直面して、内容的にはど~んと落ち込みそうな深刻な話題ばかりだったのに、不思議と勇気がわいてきました。今日のお話をみんなに伝えて、この最大、最悪の災害を、世界の歴史を変える契機にしていきたいと思います。
  小野先生、どうもありがとうございました!

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テーマ:放射能対策 - ジャンル:育児

コメント
この記事へのコメント
この人ひょうひょうと話してますので、聞き漏らさないようにしないといけないんですが、要点を書き起こしてもらえて非常に分かりやすいです。
「人についていくのではなく、一人ひとりがリーダーの感覚で」という部分に尽きるように思います。個人単位で省庁や電力会社に問い合わせや意見が続々と持ちかけられるようになると、変わらざるを得ないのでは。
2012/07/24(火) 02:50:49 | URL | ktpage #-[ 編集]
小出先生も同じ事を話されてますね。
ktpage さん、おはようございます。

> この人ひょうひょうと話してますので、聞き漏らさないようにしないといけないんですが、要点を書き起こしてもらえて非常に分かりやすいです。

そうですね、あまりドラマチックな話し方ではないので、うっかりすると聞き逃しする可能性がありますね。
ただ内容は良く整理されているので、理解の幅を広げるのにお役に立つかと思います。

> 「人についていくのではなく、一人ひとりがリーダーの感覚で」という部分に尽きるように思います。個人単位で省庁や電力会社に問い合わせや意見が続々と持ちかけられるようになると、変わらざるを得ないのでは。

はい、一人一人が自分で考えて。。。と云う事ですね。小出先生も良く話されています。
自分の出きる所から初めて、一人一人が動き始めれば、と云う事で、昨今の官邸前集会や各地での脱原発集会などにその特徴が良く出ていると思います。
もっともっと大きなうねりになる事を祈ってます!
2012/07/24(火) 03:40:07 | URL | yokoblueplanet #-[ 編集]
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