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【日米同盟と原発】:第4回「ビキニの灰」 (4)「原因はサンゴの粉じん」 2012年12月25日 中日新聞
【日米同盟と原発】:第4回「ビキニの灰」 (4)「原因はサンゴの粉じん」 2012年12月25日 中日新聞

◆沈静化急ぐ米国

 ビキニ事件をきっかけに戦後最大規模の市民運動に発展した反核運動ところが、米国は自らの非を認めず、真相解明を求める日本側に十分な情報提供をしなかった。

 事件発覚から半月ほどたった一九五四(昭和二十九)年三月三十一日。米大統領アイゼンハワー(63)の記者会見に同席した米核政策の責任者、原子力委員会(AEC)の委員長ルイス・ストローズ(58)は「日本の漁船は明らかに(米軍が事前に通告した)危険区域内にいた」と述べ、むしろ第五福竜丸のせいと決めつけた。

 米国とソ連の核競争がエスカレートしていた冷戦下、ストローズらは第五福竜丸の被害より、ソ連に最新鋭の水爆技術が流出する方を心配した。事件直後、ストローズは極秘で乗組員らの身辺調査を米中央情報局(CIA)に依頼していた。

 広島市立大の高橋博子講師を通じ、本紙が入手した五四年四月二十九日付のCIA極秘文書には、ストローズの疑問に対する受け答えが記されていた。

 Q・共産主義の宣伝に利用する計画だったか?
 A・事前計画を示す行動はない。

 Q・帰港前にソ連船と接触したか?

 A・スパイ活動の証拠はない。

 Q・治療をしている医師は政治的に疑わしいか?

 A・日本の外務省も調べているが、報告は受けていない。

 米国は、反共の砦(とりで)、日本で起きた反核のうねりが反米や左翼運動に発展することを懸念した。

 

アイゼンハワー大統領図書館に、国家安全保障会議(NSC)の作戦調整委員会が四月二十四日にまとめた「好ましくない日本人の態度を正すための活動リスト」が保管されている。

 そこには「核兵器への誤った考えを根絶するため、冊子や映画で宣伝する」「患者の症状は、放射能ではなくサンゴの粉じんが原因ということにする」-など、ビキニ事件の沈静化に向けた二十項目に及ぶ対日工作が列挙されていた。

 その四カ月後に開かれた八月十二日のNSC議事録によると、この会議で、米国は他国へ原子炉導入を働きかけることを決め、その有力候補として「決定的に資源が不足し、エネルギー消費が多い」日本を挙げていた。



 国連総会で「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」と呼ばれる演説を行った大統領アイゼンハワー。平和利用を目的に国際社会へ米国の核技術を提供するとの趣旨だったが、反核運動を封じ込める対日戦略にも利用していた。

 翌九月、ニュージャージー州で開かれた製鋼労働者組合の大会。出席したAEC委員のトーマス・マレーは「日本に原発を建設することは、悲惨な記憶を一掃させることになる」とあいさつした。

 第五福竜丸の無線長、久保山愛吉が亡くなるわずか二日前。この発言から四カ月後の五五年一月、米国は日本に原発の燃料となる米国産濃縮ウランの提供を打診している。

 反核運動が激しさを増した五四年十月、米国はようやく日本政府に最大二百万ドル(七億二千万円)を支払うことを申し出た。事件の犠牲者に対する補償金ではなく見舞金。責任を棚上げし、世論を鎮めるのが狙いだった。年が明けた五五年一月、駐日米大使ジョン・アリソン(49)が外相重光葵(67)にあてた書簡にはこうある。

 

「二百万ドルの金額を受諾するときは、日本国並びにその国民および法人が原子核実験から生じた身体又は財産上のすべての傷害、損失または損害について米国またはその機関、国民もしくは法人に対して有するすべての請求に対する完全な解決として、受諾するものと了解する」



 

米核戦略を総括するAECが久保山の死因に関する見解を示したのは事件から一年以上すぎてから。それでもなお米国は自らの非を認めていない。



 

AEC生物医学部長ジョン・ビューワーが五五年四月六日付で記した内部メモは、こう記されていた。「久保山は被ばくしたが、死亡時に内部被ばくの損傷はなかった。感染性の肝炎が死因とみられ、肝炎がなければ彼は生きていただろう」



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