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[日米同盟と原発]:第5回「毒をもって毒を制す」 (4)「PODAMは協力的」 2013年1月23日 中日新聞
[日米同盟と原発]:第5回「毒をもって毒を制す」 (4)「PODAMは協力的」 2013年1月23日 中日新聞

◆注視するCIA

 正力松太郎は一九五六(昭和三十一)年一月に発足した原子力委員会で、初代委員長に就任。名実ともに日本の原子力を牛耳るトップとなる。

blog 正力氏を「PODAM」の暗号名で記した1955年12月9日付のCIA極秘文書のコピー。
正力氏を「PODAM」の暗号名で記した1955年12月9日付のCIA極秘文書のコピー。「HeisnowtalkingaboutbecomingPrimeMinister.(彼は首相になると言っている)」などと書かれていた

 部下だった総理府(現・内閣府)原子力局長の佐々木義武(46)が業界誌「日本の原子力」に語ったところによると、正力が「俺は副総理のつもりだから、官邸以外には出ない」と宣言。戦前、海軍の青年将校が首相犬養毅を暗殺した「五・一五事件」の舞台となった官邸奥の部屋に机を構えた。

 当時、海の物とも山の物とも知れない原子力。政治家、正力がなぜそこまで熱を上げるようになったのか。
 自著「私の悲願」には「日本は天然資源に恵まれていないばかりか、肝心のエネルギー源ともいうべき石炭、石油はすでに底をつき電力の値段に至ってはアメリカの数倍も高く(中略)私はこれをいっきょに解決するには、原子力以外にはないことを知り…」とある。

 ところが、五五年十二月十二日の国会会議録によると、正力は衆院科学技術振興対策特別委の大臣答弁で、核燃料を「がいねんりょう」と発言。質問した日本社会党議員から間違いを指摘されるなど、担当大臣の資質が問われる場面もあった。

 当時、若手官僚として仕えた現在八十八歳の伊原義徳。後に科学技術庁(現・文部科学省)事務次官に上り詰めた伊原は正力から、こんな話を聞かされた。

 「おれはプロ野球をビジネスとして確立し、テレビ事業も軌道に乗せた。次は原子力の平和利用に道筋をつけることだ。もたもたしていられない」

 伊原は「国民のためにエネルギーをというより、決めたことを早く形にする事業家としての思いが彼を突き動かしていた」と話す。

 議員秘書だった萩山教厳(きょうごん)「本人に原子力の知識は全然、ない」。「正力先生は名誉というか、『自分が切り開いた』という証しを残したかったんじゃないか。のめり込んだ先生の行動力を、原子力を導入したい人たちが利用しただけだ」と振り返る。

 正力の懐刀、柴田秀利の妻で、現在八十三歳の泰子によると、柴田が当時を振り返りながら「じいさん、総理になりたがっていたんだよなあ」と漏らしていた、と証言する。

 名誉欲か、それとも政治的野心か、今となってはほとんど知るすべはない。が、マスコミ界から政界入りし、原子力の平和利用で旗振り役を務める正力は、米国にとって頼もしい存在だった。日本の反核世論封じ込めを狙う米国の対日戦略に沿うものだったからだ。

 首都ワシントンの米国立公文書館に保管されている国務省や米中央情報局(CIA)の膨大な極秘文書。正力は「PODAM(ポダム)」という暗号名で呼ばれていた。どういう意味かは不明だが、ちなみに元朝日新聞主筆で、自民党副総裁を務めた緒方竹虎(67)の暗号名は「POCAPON(ポカポン)」だった。

 正力が衆院議員初当選からほぼ半年後の五五年八月十一日付のCIA文書には「PODAMは協力的だ。親密になることで、彼が持つ新聞やテレビを利用できる」。その一カ月後の九月十二日には「PODAMとの関係ができてきたので、メディアを使った反共工作を提案できる」と記されていた。

 原子力の担当大臣就任からほぼ二週間後の十二月九日にCIAがまとめた報告書。そこには、正力を映画「市民ケーン」のモデルになった米新聞王、ウィリアム・R・ハーストのような男と分析した上で、こう書かれてあった。

 「PODAMの存在感が大きくなっている。彼の関心はテレビから原子力へと拡大し、今では首相になると言っている」

 ところが、CIAの言う「総理を狙う男」は予想を上回るペースで原子力にのめり込み、豪腕ぶりを一段と発揮する。米国の描くシナリオが微妙に狂い始めていた。

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