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「小出裕章ジャーナル」:原発の基礎知識編 2013.4.6. (ラジオフォーラム)
小出裕章ジャーナル」:原発の基礎知識編 2013.4.6. (ラジオフォーラム)


20130406 R/F #013「小出裕章ジャーナル」



番組内容:「原発の基礎知識編と:そもそも原子力発電とはどういうものなのか、なぜ危険なのか。」

【パーソナリティー】:湯浅誠(社会活動家)
【電話出演】:小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
▼ラジオフォーラム:http://www.rafjp.org

▼文字起こしは以下。

◆湯浅:この番組には、全国から、原発についてのさまざまな質問が寄せられています。
え〜、中には、もっと原発の基本から学びたいというリスナーの声も多くあります。
そこで今日は、そもそも原子力発電とはどういうものなのか、なぜ原子力発電が危険なのか、改めて考えてみたいと思います。
今日も、小出さんと電話がつながっています。
小出さん、よろしくお願いします〜。

◆小出:はい、よろしくお願いします。

◆湯浅:まず、あの原子力発電所と火力発電所の違い、ま、どちらも代表的な発電所と言われますが、そもそもこの二つの違いというのはどういうことなのか、教えていただきますか。

◆小出:はい、どちらも電気を起こすという機械ですけれども、もともと200年程前に、ジェームス・ワットたちが、蒸気機関というものを発明しました。
え〜、それまでは例えば農業をやるためには家畜を使っていたし、一部の贅沢をしたい人たちは奴隷を使っていたわけですけれども、蒸気機関というものが発明されてからは、水を沸騰させて蒸気を作ることができるなら、その蒸気の力で機械が動くと、そうなれば家畜も要らないし、奴隷も要らないという、そういう時代になったのです。
発電ということも、所謂蒸気機関でして、吹き出してくる蒸気でタービンという羽根車を回して発電するという、まあ、言ってみれば200年も前からできているたいへん古めかしい装置、なのです。
で〜、火力発電所のほうは、石炭、石油、天然ガスというようないわゆる化石燃料を燃料に使いますし、原子力発電所の場合にはウランというものを使う、というのが違いです。

◆湯浅:どちらも蒸気でタービンを回して発電するというところは一緒だけど、何を燃やして蒸気を作るかというところが化石燃料とウラン、その違いだということですね。

◆小出:そうです。

◆湯浅:で、だとするとまぁ同じ蒸気でタービンを回すなら、なぜ原子力発電所だけは、都会には決して造ることができない、そういうものなんでしょうか。

◆小出:はい、それは燃料が違う、つまり原子力発電の場合にはウランというものを燃料にしていることに由来しています。
え〜、ウランは元々放射性物質で危険なものですけれども、そのウランを核分裂という現象を起こさせてエネルギーを取り出そうとするのですが、一度核分裂という現象を起こさせてしまいますと、放射能の強さが1億倍にも増加するというような現象でして。

◆湯浅:1億倍ですか。

◆小出:1億倍です。
所謂核分裂生成物という放射性物質が大量にできてしまう、だから原子力発電所だけは決して都会には造れない、ということになりました。
え〜、おまけに原子力発電所、先ほども聞いていただいたように、蒸気機関の一種なのですが、たいへん効率の悪い蒸気機関でして、発電させたエネルギーのうち、たった3分の1しか電気にならない、残りの3分の2はどこかに捨てなければ動くことができないというそういう馬鹿げた装置なのです。
で〜、捨てる場所が必要ですので、なかなか都会にはできないということにもなりました。

◆湯浅:なるほど〜。
その作られた電気のエネルギーのうちの、え〜、3分の1しか使えないと、3分の2は捨てなきゃいけないと。

◆小出:そうです。

◆湯浅:どこに捨てているんですか。

◆小出:え〜、まぁ基本的には日本の場合には海に捨てています。
で、捨てるといっても、どうやってじゃぁ捨てるのかということになりますけれども、え〜、海水を発電所の敷地の中に引き込みまして、その海水に熱を捨てる、つまり、海水を温める、そしてまた海に戻していくということで、使えない、本当に無駄になってしまうエネルギーを捨てているのです。

◆湯浅:原子力発電は、作り出しているエネルギーの3分の2を海を温めるために使っているということですね。

◆小出:え〜、そうです。
え〜、はい、あの私に原子力というものがどういうものかということを教えてくれた人、私がまぁ数少ない先生と呼ぶ人の中に、かつて東大の原子核研究所というところで働いていらっしゃった水戸巌さんという方がいらっしゃるのですが、その水戸さんがあるときに私に「皆さんが原子力発電所と呼んでいるものをそういう呼び方で呼ぶのは間違えている」と言いました。
どうやって呼べばいいのかなと私がふっと思ったら、彼が「あれは海温め装置と呼びなさい」と私に教えてくれました。

◆湯浅:確かにそうですよね、3分の2を海を温めるのに使ってだったら、いわば使われてる電気のメインの使いかたは海を温めることで。

◆小出:そうです。

◆湯浅:言ってみれば、家庭とか工場に電気を送っているのは、いわばサブの役割だっていうことですね。

◆小出:そうです。
はい、あの〜、そのことを私は水戸さんから教えてもらって、あぁものごとというのはちゃんとやっぱり見なきゃいけないのだなあということを学びました。

◆湯浅:ん〜、なるほど〜。
で、現在日本には54機の原子力発電所があるわけですけれども、どうして電力会社はほかの選択肢もあるにも関わらずですね、ここまでその原発を進めてきたんですかね。

◆小出:え、まぁたくさんの理由がありますけれども、まず電力会社というのは会社ですから、金儲けをするということが基本的な目的です。
で、皆さん、例えば何かものを買うときには、あっちこっちの商店に行ってみたりしながら、自分の気に入ったもの、そして少しでもまあ安いものを選ぶと思うのですが、電気の場合には選べないのです、消費者の側から。

え〜、所謂地域独占という形になっていまして、電力会社からしか買うことができない。
では、そのときの電気代というのはどうやって決めるかというと、電気事業法という法律で決められているのです。
え〜、その電気事業法で、所謂会社ですから必要経費はあるだろう、そしてそのほかに会社だから儲けも取るのが当然だと。
じゃ、その儲けっていったいどうやって決めるかということなのですが、普通の企業であれば自分の努力で儲けを、電気の場合には法律でその儲けのしかたが書いてあるのですね。
え〜、それ私たち総括原価方式と呼んでいますけれども。

◆湯浅:総括原価方式、この間何度も話題になっていますね。

◆小出:はい、電力会社の持っている資産の何%分を毎年儲けていいという、そういうような決めかたなのです。
え〜、そうすると電力会社としては、資産を持てば持つだけ儲けが増えるという、法律が保証してくれるという仕組みなんですね。
え〜、原子力発電所というのは1基作ると4千億円、5千億円という巨大な資産になるわけで、作ってしまえばもう自動的に金儲けができるというシステムが法律的にできてしまっていた。
ですから電力会社としては原子力発電所が動こうと動くまいと何でもいい、とにかく造ってしまえば金儲けができるというそういうことになってしまいました。

◆湯浅:ん〜、あの〜先日〜、経産省の委員会でしたっけねぇ、あの7年後の発送電分離、まあ、自分で電力会社を選べるようにという風にまあこの間の9つの電力会社の地域独占体制を変えていくんだと、いう風にまあ答申を出したかと思うんですが、小出さんはそれによって今おっしゃられたような課題はいくらかでも変わるとお考えですか。

◆小出:え〜、送電と配電ですか。
分離をするということができれば、原子力は絶対に潰れます。
ただ、電気というのは人々が生きるためにかなり重要なインフラですので、え〜、本当にどうすることが人々の幸せにつながるかということは十分に議論すべきことだと思います。
ただ、いずれにしても現在のように原子力発電を造ればひたすら電力会社が儲かってしまうというようなことはやはり止めなければいけないと思います。


◆湯浅:はい、ありがとうございました。

◆小出:ありがとうございました。

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テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済

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